【骨折生活】四十四日目
ついに。
ついに!
六週間の長きに渡ったギプス生活が、一昨日、ついに終わりを迎えた。
完全なるご開帳を前に、ワタシは万全の準備を整えた。
丸ごとキャベツスープの残りをレンチンして食べ、お惣菜のアジフライを食べ、もずくも食べ、冷凍ご飯もレンチンして食べ、さらにバターサンドのお菓子も食べて、お腹を満たし、満タンにし過ぎて気持ち悪くなった(げー)。
同僚に、『 今日のワタシの最優先事項はギプス外しだ。これを邪魔するヤツは絶対許さん、骨折ってやる 』とチャットし、気合を入れた(謎)。
そして、いざ病院へ。
途中ですっ転ぶと大変なので、注意して歩いた。
「予定通り外しますよー」と先生。
やっぱりあと一週間、とか言われなくてよかった。ホッとしつつ、いよいよ完全ご開帳!
新聞紙を膝の上に敷き、腕を出…せないから、何となくちょっと掲げてみる。
ミニチェーンソーが唸り、世話になったギプスに食い込む。
バリバリと白い破片を撒き散らし(新聞紙はこのためなのだよ)、ひえーっと心の中で叫ぶワタシを尻目に、チェーンソーはギプスを断ち切っていく。
もう、怖くて半分くらい目をつぶってたよ、ジェイソーン。(謎)
恐怖の時間が過ぎると、先生がラクダ色のサポーターにハサミを入れ、次いでヤットコみたいな器具をギプスの切れ目に突っ込む。
パコンッ。
ギプス、ご開帳ー!
アデュー、
アデュー、ギプス!(涙)
残骸となった六週間の相棒に別れを告げたワタシは、晴れ晴れとした気分だった。
腕を洗うために突っ込んだバケツのお湯が、「あったかいから大丈夫ですよー」という看護士さんの明るい言葉とは裏腹に、水同然に冷めていても気にならないほどに。(ヒャっ、とはなった)
むしろ、これをあったかいお湯と感じるなんて、アンタどれだけ冷え性なんだと心配になった。
その後、簡易な補助具をつけてもらい、40分工程のリハビリ(リハビリ室が換気のために窓全開で寒かった。次は着ぶくれして行かないと風邪引くー)を経て、帰宅。
はー、これで晴れて自由の身ー!
……と喜んだのも束の間。
そうは問屋が卸さなかった。
ワタシの問屋はドケチらしい。
ない袖も振れってか。
振った袖をむしり取って巾着袋でもつくるつもりか、図々しい。
解放感のあとに待っていたのは…。
「なんか痛い。…ってか痛い! ちょっとすごく痛いんだけど!」
ようやく自由になった腕を、急に曲げたり伸ばしたりしたのが仇となったのか。
お風呂のあと、ひどい痛みがワタシを襲った。
あまりに痛くて、ギプス、カムバーック!と叫びたいくらいだ。
なんだ、この痛みは!
そう、骨活の本番はこれからだった。
長い第二章の幕が開いたことを、ワタシは垢だらけの手に辟易しながら思い知ったのだった…。
続く。
⭐︎B2