餅は餅屋がよろし。〈前編〉
持っているおぶらじゃ(=おブラ=ブラジャあ。ちちバンドともいう)が、どれもこれもボロッちくなってきたので、総取り替えをしようと某ゼネラルマーチャンダイズストアの下着売り場に行った。
一口に下着売り場と言っても、大まかに「high-rankゾーン」(お高い)、「mid-levelゾーン」(中級品)、「bargainゾーン」(バーゲン品)の三領域がある。
当然、店舗側はお高いやつを売りたい。というか、買って然るべきと思っているフシがある。ゆえに、もっとも目立ち、かつ立ち寄りやすい場所にhigh-rankものを置く(多分)。No sence of directionの自分は、もちろん「high-rankゾーン」に誘い込まれる口である。
「high-rankゾーン」──。
色とりどりの華やかなおぶらじゃが、頭上高く掲げられている場所。
まるで高慢な貴婦人連中に値踏みされてるようだ。
「high」というだけあって、値段も態度もでかいよ、こいつら。
「ワタクシに手を出す度胸(とお金)があって?」とかなんとかほざく声がする。
(↑気後れしてる貧乏人の幻聴)
それでも彼女たちは美しい。さすがにお高いだけのことはある。
一枚1,000円(税別)のヤツとは月とすっぽんだ。
そうさ、1,000円(税別)のおぶらじゃなんてグ○ゼのパンツに等しいさ(謎)。
ああ、目がうろうろする……。
だが、所詮は高嶺の花。
値札に印字された数字に口から魂魄がすっ飛び、逃げるように庶民価格ゾーンへ撤退、、、、、しないんだよ、今日は!
そう、今日は強い味方がいるのだ!
七色のオーラを放ちつつ、あちらこちらにペタペタ貼られた魅惑のお札!
すなわち!
『本日に限り25%引き』
……25%引き?
買える!……と思った。
一枚なら。
他はグ○ゼのパンツおぶらじゃになろうと(←何枚かまとめて買うつもりで来た)、このチャンス、買わずにおくべきか!
勇んで気に入ったデザインのものに手を伸ばし、、、気づいた。
むむむ。
自分のサイズのやつがない…………。
近年、それとはなしに気づいてはいた。
このサイズ(=最下層サイズ)の存在が薄くなっていることに。
稀に、中学生用とか初心者向けゾーン(謎)にしかなくて唖然とすることも……。
なんだなんだ、絶滅か!?……と思うくらいの品薄さ。
闇市にでも流れているのか!
どこにあるんだ、その闇市わっ!!!
憤りつつサイズ違いのおぶらじゃをためつすがめつしていると。
すいっと係りの女性が近づいてきた。
「そのお色、今年はよく出てるんですよ。ご試着もできますのでよろしければ……」
はあどうも、と適当にやり過ごそうとしたが、さらに彼女の攻撃は続いた。
「サイズはおわかりですか。お測りしましょうか」
測る!?
とんでもねえっ、そんなコッパズカシイことできるかいっ!
やんわりと拒否りつつ、聞くは一時の恥(測られるよりマシ)とばかりに尋ねてみた。
「あの、、、これの最下層サイズ(←とは言ってない、もちろん)はあります?」
途端、彼女は眉をくもらせた。
「それはBから上のサイズしか作っておりませんで……」
憚られるように声を潜める彼女を見て悟った。
嗚呼、自分はマイノリティなのだ……と。
そーかそーか、既に絶滅危惧種のカテゴリーに入ってたのか。
レッドデータなんだな。
そのうち、せっせと手作りせねばならん日が来るのだろーか。
どうやって作るんだ、型紙どこで手に入れるんだ……。
黄昏気分でその場を離れた。
ちくしょー、25%引きなのに、買えるものがネエ~~~〜〜。
後ろ髪引かれる思いとはまさにこのことか。
とぼとぼと歩く自分にできることは、我が身を慰めることだけ。
いいさいいさ、「bargainゾーン」にはあるさ、きっと。。。
おお、見ろやあそこ!
下がっとる下がっとる、3割引きの札が!
25%よりさらにお得!
ここはやっぱりオアシスだ!
庶民の聖地だ!!!
勇んでワゴンの中(バーゲン品は宙を舞う花のように掲げられたりはしない)をのぞき込み、、、しばし沈黙。
えーと。
Bの区画。Cの区画。Dの区画。E以上の区画。。。。。。
あれあれえ?
最下層サイズの区画がないんですが???
ぬ、
ぬぬぬ、、、
ぬおおおおお!!!
マイノリティの悲劇っ、ここでもかっ!!!
オアシスどころか地獄の三丁目かよっ!!!!!
どこで手に入れりゃいいんだ、マイおぶらじゃ!
(挿入歌)
♪ Ob-La-Di, おぶらじゃ、Ob-La-Di, はーんっ!! ♪♪
※ The Beatles 『Ob-La-Di, Ob-La-Da(オブラディ オブラダ)』 より~
(後編)へ続く。
B2@♪ Ob-La-Di, おぶらじゃ、Ob-La-Di, はーんっ!! ♪♪