Bの響宴

リタイヤを迎えた親のための認知症予防プログラム - 「ひとまず家族でブログやります。」(B型一家ほぼ全員参加型企画)

『かくりよの宿飯』:原作小説、コミックス、アニメを一挙まとめてレビュー。

 

 

今クールからアニメの放映が始まり、面白そうかなと思って見始めたらそのままハマってしまった作品である。
原作小説があると知り、さらに漫画化もされているということで、両方を入手。コミックスは既刊をすべて読了。原作小説は現在5巻を読んでいるところ。

 

さて、ここから多少辛口になるが、個人的な感想だということをまずは断っておく。本作品に盲目的な愛情を注いでいる人は読んではなりませぬ(笑)。

 

 

まずは原作小説について。
一番の感想は「おお、ラノベだね!」というもの(笑)。
ラノベ、すなわちライトノベル。何をもってライトノベルとするかは意見が分かれるところだが、10代~20代前半の若者向けに書かれたキャラクターに依存するところの大きい小説、ってとこだろうか。異世界など特殊な世界観を持つものが多いというのも特徴。文学作品のような重たさはなく、さくさくっと読める。でもまったく後に残るものがないかというと、そんなこともない。面白くて何度でも読み返したくなる作品もある。
※昨今は、ライト文芸とかキャラ文芸とかいうジャンルも出来ているようだが、自分的には全部ひっくるめてラノベでいいんじゃないの?と思う。軽いんだけど面白くてついつい先が読みたくなる小説って感じ。

本作品も、20歳の女子をヒロインに据え、隠世(かくりよ)というあやかし(=妖怪)の住まう世界を舞台に繰り広げられる物語だ。祖父の借金のカタに鬼の嫁になることを迫られたヒロインが、料理を武器に様々な問題を乗り越えていくという内容。料理好きな人には垂涎ものの描写も多い。

小説は一人称で書かれていて、まあまあテンポよく読める。既存の物語の良いところを上手く寄せ集めて作ったような感じもするけれど、基本的に面白いし、キャラもそれぞれ立っているので、先が気になってついついページを繰ってしまう。

駄菓子菓子。

文体がひどい(笑)。
一人称だから、会話調で書くのは問題ないんだけど、言葉の使い方がところどころ間違っている。これはいただけない。読んでる側は「???」となり、興覚めしてしまう。
商業出版として世に出してるんだから、当然編集者も原稿をチェックしてるはずだが、その編集者が無能なのか、あるいは敢えてそうしているのか。後者だとしたら読者を舐めてる。これから先も作品を出し続けるなら、日本語をもっと勉強しろと言いたい。何でもそうだけど、基本を押さえて初めて「崩す」という高等技術が使える。でもこの作品はそこを都合よくスルーし、勢いのみで書いている感じがする。

この作者さんもまだ若いんだろうな。もともと小説投稿サイトに投稿していた作品に人気が集まって……という経歴らしいので、勢いでここまで来ちゃったんだろけど……。でも、プロとしてやっていくなら、自分の文章にもっと責任を持たないと。まさかずっと一人称で書き続けるわけじゃあるまい? 三人称視点の作品を書いたらこの欠点は如実に表れてしまうぞよ。せっかくのチャンスをものにしたんだから、意識して頑張って欲しいところだ。

あと、料理についての描写だけど、なぜか九州ものに偏っていて、おまけに変にリアルなところが鼻につくのはさておき(謎)、あやかしの住まう世界なのに、なんで現世の食材がこんなにあふれてるんだろう? あやかしたちは現世に行き来可能という設定はともかく、ちょっと多すぎないか? もっと隠世ならでの食材を使った料理を作るところが見たい(読みたい)のだが。

……とまあ、辛口なことを書いたけど、それらに目をつぶっても、ぐいぐい読ませる力を持っていることは確かなので、そこは称賛する。作者さん、今は書くことがとても面白いんじゃないだろうか。そんな勢いの良さを感じる。若さだねえ(羨。w)。

次に漫画版。
アニメを最初に見たせいか、大旦那様のイメージが違っていて最初は違和感があった。でも慣れた。というより、アニメの作画が見るたびに崩れていくので、漫画のほうが良くなった。原作の流れを忠実に追っているから、読んでいて安心だし。さらに、漫画ゆえ、原作の文体のまずさも出ないし(笑)。

そしてアニメ。
4話まではよかったんだけどなあー。
5話になっていきなりクオリティ下がったよー。
何あれ。原作のエピソードをぶつ切りにしてただ並べただけの演出。脚本が悪いのか、それとも演出が悪いのか。見ていてとても違和感があった。これならアニメはもう見なくてもいいやと思うくらいひどかった。作画崩れよりよほど気になる。これ、ブルーレイとか発売しても買う人いるのかな。アニメは2クールの予定らしいけど、こんな感じで作り続けるのだろうか。。。

というわけで、原作、コミックス、アニメを並べてみると、現段階で一番いいのはコミックス、ということになる。
原作も面白いので読み続けるつもりだけど、展開次第ではどこかでやめちゃうかも……という気もしなくもない。

ラノベは過去にハマっていまだに何度も読み返している作品が二つあるけど、それに匹敵するくらいの作品になって欲しいものだと一読者は勝手に思い、勝手にエールを送る。

☆B2

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