レアリアⅢ〜運命の石(前後篇)
昨年末、前巻から実に二年と三か月ぶりに新刊が出た『レアリア』。
正直、待ちくたびれてその存在を忘れかけていたが、秋の終わりに新潮社のTwitterで、Ⅲの刊行を知って小躍りした(心の中で)。
前後篇の二冊同時発売。
フツーなら、「やったあ、二冊も読める!」と大喜びの盆踊りだろう(謎)。
だが、前巻からかなりの時間が経っている。北極と南極と赤道一周の旅にでも行ってるのかと思っていたほどだ(謎)。ゆえに、それくらいのボリュームがあって当然、いや、実は上下巻で出るのではないかと予想していた。
結果的にはハズレた。
上下巻ではなくて、前後篇だった。
だが、二冊式だったところは当たっていたので、まずは良しとしよう(謎)。
実際、心配しましたよ。『yomyom』(雑誌)で読切りの掲載はあったけど、ひょっとして『彩雲国物語』の次世代編を書いてるのかとか(←期待してます)、アイデア枯渇してまさか打ち切り!?とかとか、想像の翼を逞しくはためかせ過ぎて、どこにも着地できないもやもや感を抱えていましたよ。
とりあえず無事に刊行された良かったけど、しかし、連作ものでこれだけ間を空けるってどうなのだろうねえ。
『十●●記』みたいに、もはや待つことが当たり前のようになってしまった作品ならまだしもねえ(←こっちも作者様の具合があまりよろしくないようだが大丈夫かしらん。ろくろ首のようになって待っておりまっせー。謎)。
下手すれば読者が離れかねない…と危惧するわけだが(Amazonのレビュー件数もすっごい少ないもんね。w)、それはさておき、以下、個人的レビュー行ってみよう。ネタバレ注意!
☆
だいぶ謎が明らかになってきました。
では、例のごとく総ざらい。
①ぽんこつレナート
レナートおおおおお!(お約束の叫び。謎)
とりあえず今回もまだ何とか元気に活躍してくれて良かった。
レナート=エリファズ説がだいぶ濃厚になってきたっていうか、ほぼ確定なんじゃないのか、これ。王都を出た理由も妹殺しで気がふれたというか、まあそれがきっかけになってヅラトンこいたってことだよね。ぼんくら王子がよくも追跡の手を振り切ったものだと思うが、そこにはアキもちょっと絡んでいるのだろーか。この二人の逃亡と逐電は同じ日だからね。
②ミレディアの出自。
普通ではないとは思っていたけど、「異界」からアキのためにやってきたとはね。しかし、その「異界」の物語への投入が、何と言うか、ちょっと唐突な感じがした。ファンタジーだし、魔女だ何だのが出て来る話だからいいんだけど、違う次元にびょーんと移っちゃったような、妙な違和感。まあ、レアリアと関係があるのだろうから、とりあえず今後の展開を見守りましょう。
しかし、あの日、アキを生かすために力のほとんどを使い果たしてしまった…って、ミア、この先どうすんの? 何も持たないことが彼女の強みだということはわかるけれど。
そして、オレンディアは『誰』のためにこの世界へやってきたのだろう。やっぱりユーディアス? ディーとリュージャとこの三人の話はまだまだ謎だな。
③道化師。
うむ、やっぱりアキは先代の道化師(ラ・ピエロット)だった。
でも、わかったのはそれだけ。アキは一体どういう出自なんだろうか。わかってるのは、アキと、そして先々代の道化師であろうと思われるディーが、同じ金髪と碧眼であることだけ。兄王家の血筋には、真性の王の徴たる黒髪と藍の瞳の他に、金髪と碧眼も出るのかいな。アキって正当な血筋、兄弟王家の系譜らしいし、ひょっとしてヴァルデミアスの子供で、しかも母親がオレンディア…だったりして。そして、アキの「探し物」って何だろう。ヒントは出ていたけれど。ミアとレアリアが関係するのはわかってるけど。
④ヴァルデミアス
出てきたねー、先代の恐怖帝。過去の時間軸でミアやアリルと接したことが、これからどう話に折り込まれていくのか。そして、突然の怪死の原因は? オレンディアを情婦扱いしてたのも驚きだったけど、やっぱり彼女が魔女だからなのだろうか。レアリアと冬の王の関係を模したような流れは、ミアとアリルにも受け継がれてしまうのか。では、アキは?
「十二月物語」になぞらえると、アキが太陽で、ミアが月の女神で、アリルが冬の王ってことになると思うんだけど……。
黒の魔女の駒がミアの命を救ったところはちょっと感動した(謎)。
⑤アキとアリル
父と息子で女の取り合いかよー。
アキは知ってるのかな。アリルは絶対的に知らなそうだし、関心もなさそうだけど。この二人、どこまで関係がねじれていくんだろうかー。ちょっと暗すぎるよ、この二人の設定。
⑥ラムザ
うん、かわいそう(笑)。
ある意味、アリルと同じくらい悲惨な設定。
人間ですらない存在ってどういうこと? でも、意思を持ってしまったんだよね。むしろ持たないほうが良かったのに。彼の行く末がなんとなく見えてかわいそう(笑)。
⑦アイゼン
今回はグランゼリア戦でちょっと出て来ただけど。
彼は、レキセイを殺したのが自分を助けてくれたあの女の子だってことに気づいてるんじゃないのかなあー。でないと面白くないしー(謎)。あの耳環がひとつの鍵だね。
⑧カイとミルゼ
カイ、長老だったのか。あっさりとバラしてたけど(笑)。
このカイとミルゼの関係はやるせない。壊さないで欲しいなあ、この二人だけは。
そしてミルゼには幸せになって欲しいなあ。この物語の中で一番そう思うキャラかもー(あ、レナートがいた)。
⑨ギィとサカナ
この二人の登場が一番ホッとした(笑)。
⑩その他
いまだこだわってるんだけど、絶対出て来る街角のクラリネット吹き。何かあると思ってるんだけど。まだ笛吹き一座のボスが登場してこないしさ。この辺りは次巻以降に期待。
次巻はアイゼンのほうに焦点が移るのかな。
そして、いつ発刊されるんだろう(笑)。
いやー、いくら二冊同時発売でも、これほどの時間をかけるほどの厚さではなかったように思うんだが……。
まあ、レアリア本編書きながら、彩雲国物語次世代篇を練ってるのかも知れないしな。期待しよう、うん。
☆B2