Bの響宴

リタイヤを迎えた親のための認知症予防プログラム - 「ひとまず家族でブログやります。」(B型一家ほぼ全員参加型企画)

ソロモンの偽証

 

ソロモンの偽証 第I部 事件

ソロモンの偽証 第I部 事件

 

 

校内で起きたある事件をめぐり、中学生たちが自ら法廷を設け学校内裁判を開く。
あれは自殺だったのか、それとも殺人事件だったのか──。
様々な証拠を拾い集めていく中で、彼らは何を思い、何を見つけていくのか。
そして最後に明かされる驚愕の事実。
彼らが下した評決とは──。

本作には、出版当時から興味を持っていた。
新聞にでかでかと広告が載り、宣伝文を読んだだけで「うへ、すっごい読みたい!」と思った。
しかし、当初は単行本。
三部形式で全三巻。
高いんだよ、単行本は。
おまけにかさばる。狭い部屋ゆえ置き場所にも困る。
ゆえに文庫化を待っていたわけだが、やっと文庫になったと思ったら、各部で上下に別れ、計6巻にもなっている。
最近の文庫本は高いんだよ。
おまけに6冊ともなるとやはりかさばる。
ゆえに買うのをためらい、ブッ○オ○で中古本が出てもためらい、そのままずるずると月日は流れ……。
(何はなくともドケチ道は守ります。謎)

結局図書館で借りて、ようやっと読了した。
かなりの分量で実に読み応えがあった。
さすがに宮部さん、一巻だけでも相当なボリュームだが、ぐいぐいと物語の中に引っ張り込まれた。
寄る年波には勝てず、目が疲れるので最近は日を分けて読む進めることが多くなったが、一巻を一昼夜で読み切ってしまった。

中学生たちの描写はもちろん面白かったけど、周りで右往左往する大人たちの言動がこれまた面白かった。
なんで大人になると、画一的で建前的で、かつ自分の考えに固執するようになるんだろう。
自分も年齢だけからいえば大人(というか中年)の域に達しているわけだが、それでも不思議に思ってしまう。
大人が自らを省みるきっかけになるような作品でもある。

宮部さんの作品は基本的に好きである。
すべてを読破したわけじゃないけれど、大抵のものは面白い。
特に面白かったのは、『ブレイブ・ストーリー』とか『レベル7』とか。
中にはイマイチと思うものもあったけど(『霧の城』とか『小暮写真館』とか)、やっぱりすごいなと思う。
前にある本で読んだんだけど、宮部さんは作品を書くのにプロットとか作らないのだそうで。
上橋菜緒子さんも同じなんだけど、こういう人たちを天性の作家と言うのだろうか。

『ソロモンの偽証』、いやー、満足。

 

☆Author:B2

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