【推し漫画】百鬼夜行抄
もう年末なのに、いやむしろ年末だからこそ、寝正月の皆様へ送る推し漫画。
最近になってすっかりどっぷり嵌った漫画です。
1995年に連載が始まり、舞台やドラマ化もされているのでご存知の方も多いかもしれません。
本作は、ひと口で言うと妖怪モノです。
妖(あやかし)と対等にやり合う力を備えた作家、飯島蝸牛(いいじま・かぎゅう(本名は飯嶋怜))。
物語は、その孫である飯嶋律(いいじま・りつ♂)を主人公に進んでいきます。
祖父と異なり、律には妖を見る事は出来てもそれらを統べる力はありません。そんなスーパーマンではない律が意図せず交差してしまうさまざまな人々と、彼らの日常に潜む妖魔達。妖魔と人は、まるで光と影のように表裏一体のものとしてそこに在り、彼らと私達の世界は些細なことで溶け合います。ホラー的要素もあり、幻想的要素もあり、人間臭さも感じられ、ときに(というかしばしば)喜劇(笑)。
さらに律を始めとした登場人物、とりわけレギュラー陣がこれまたいいのです。
祖父である蝸牛はすでに亡き人ですが、律と共に暮らす祖母の八重子さんや母の絹さん、そして、実際には既に死亡しているものの、祖父が使役していた式神「青嵐(あおあらし)」が身体を借りていることからまるで生きているように動く「父」。さらに律と同じく蝸牛の能力を受け継ぐ従姉の司ちゃんや晶ちゃん、蝸牛と八重子さんの子供達である伯父や伯母たち、律の式神である鳥の妖魔・尾黒と尾白(作者様の文鳥がモデルとか)。このレギュラー、準レギュラーの面々がみな愛すべき人々であり、妖魔なのですよね。とにかく大好きです。
すでに他界した蝸牛についても、若い頃の怜さん時代の話がちょこちょこ出てきます。伴侶となる八重子とのお話もひとつひとつがとても素敵です。行間に込められた色相の異なる愛情にほろりとさせられるシーンも数多あり。
今後も目が離せない本作ですが、個人的には、現在26巻時点で大学卒業間近な律には、そろそろ次のステージに移ってほしい気も・・・主役とはいえ、これまでは事なかれ主義でどちらかというと受け身な律でしたが、最近はなんとなく主体的に行動するようになってきたような、、、。蝸牛や伯父の開さんのような深みや格好良さはまだまだ求めていないし、どういう方向に転んでも構わないので、律の変化が見たいなあと思う私です。
author@B3